これは、実際にあったケースを脚色して書いています。そのまま書くのはやはりはばかられるので、それを踏まえたうえでお読みください。我々の仕事の一部を追体験してもらえると嬉しいです。
入院したいけど受け入れ先がないてどういうこと?
何でそうなるん?
病院も万能ではないのでね。
過去の入院などであまりにも問題行動が続くとそういうことになる。
問題行動?
病気だからしょうがないんじゃないの?
それはそうなんだけど…
それだけではもうどうにもならない時もあるんだよね。
よっぽどの時は、病院もNGを出すよ。そうなったときに本当に苦労するんだ。
精神疾患の大きな原因となるのは不眠です。不眠を解消するためのアイテム10選!をご紹介。
どんな症状で、どんな支援をするのか具体的に伝えます
ケースとしては、統合失調症です。違法薬物乱用による、が付くタイプですが。誤解のないように伝えておきますと、過去そうであって、それにより精神障がいが引き起こされ、違法薬物の使用をやめても、その症状だけ残っている。というモノです。
陽性症状の出方にもいろいろあります。正気の部分が残ったまま、不安感が募りに募って、全てが信用できないような状況。このパターンであれば、本人も病院へ行きたいと訴えるのでまだすんなりです。しかし、過去の経歴が邪魔をします。
受け入れてくれる病院がない!?
人間は積み重ねがあります。過去に行ってきたことは、今に跳ね返ってきます。本人は身体状況も悪く、痛みを訴えます。救急車を呼んでくれと言います。しかし、今までの積み重ねがあります。幾度もそういう事を繰り返してきた過去があり、救急隊員も皆知っているのです。なので、まず搬送そのものをしてもらえない状況が生まれます。いわゆる、緊急性がないと判断されてしまうわけです、身体的には。痛みはあっても、死にはしない。現場で私も途方にくれます。そして、救急隊員へお帰りただいて結構ですと伝えます。身体的に緊急性がない、しかし精神的には病院に入るのが妥当な状況です。
本人を諭します。「今は死なないから帰ってもらった。明日、病院が開いたら相談しに行きましょう」
帰ってくる答えは、「どこでもいいので病院に連れて行ってください。お願いします」
消え入るような声で言ってきます。
まずは、落ち着くために薬を飲みましょうと伝えます。
「どうせ効かない」と言いながらも、たくさんの安定剤と、睡眠薬を飲みます。たしかに、しばらくは効果がないように見えます。苦しさを訴え続けます。1時間ほど、問答を繰り返しながら様子を見ます。
服薬から2時間立たないくらいでしょうか、眠り始めました。まずはここでひと段落です。すかさず、訪問看護へ連絡をします。入院先が確保できないかあたってもらいます。
入院を受け入れてもらえない背景はもちろん、以前入院したときにいろいろと問題が起きたから。それでもあきらめずにあたってもらいます。訪問看護さんの力が必要です。主治医の先生はいるのですが、入院施設がない病院であるため、つなぎが必要です。通常、公的な病院(県病院・大学病院)は比較的受け入れてくれるのですが、そこすら難しい状況。嫌な予感がします。前回入院した病院が一つの望みですが…前回入院の際も、自らもう大丈夫と言って早めに退院してきた経緯があります。それからまだ日も浅い。本当に焦ります。断られたら…
訪問看護から連絡が来ます。前回の病院にも断られてしまいました。と。
本当に目の前が真っ白になります。もう夕方です。いまからお願いできる病院はありません。
訪問看護さんと話します。とりあえず、明日もう一度主治医に相談することにしました。
寝ている時間は、おそらく6時間程度。夕方に寝たので深夜帯が心配です。しかし、私も寝ないわけにもいかず。結局その日に決まった、まず主治医に相談することを望みとして就寝します。
夜中…やっぱり鳴る電話。まぁある意味予想はしていました。意外なことは、本人の電話でなかったこと。電話に出てみると、保健所からです。
保健所からの電話を要約すると、本人が救急と、警察に通報。警察も支離滅裂な電話内容から、現場に向かい本人の様子を確認。保護が必要と判断され、警察署の保護室にいるとのこと。警察から保健所への連絡があり、保健所としては措置入院が必要かどうか検討中です。という事。
措置入院になれと思いました。それは入院してしまえという意味ではありません。行政がかかわることで、公的な病院は極力受け入れをしなければならなくなります。そうすれば、入院への望みが…1時間ほど上長と話し合い、決定するとの話です。何とかなってほしい。
しかし、自傷行為もないこと、他害も見られないとの理由で、措置入院にはなりませんでした。
本当、どうかしてます。こんな状態で、病院に入れないんです。普通は任意入院ですんなりですが、それができないだけでこれほど苦しい思いをします。本人も、周りの支援者も。本人の自業自得だと言えばそれまでですが、それでは何の解決にもなりません。
早朝、警察署に向かいます。引き取りの書類に私がサインをします。今まで何回あったかな。警察署は初めてだな。病院は何回もあったな。何てことを思います。本人に会います。また取り乱しています。点滴跡は注射痕じゃない、悪いことはしていない。もうめちゃくちゃです。とりあえず本人が落ち着けるように話しかけますが、なかなか落ち着きません。警察の方も困惑しています。
警察の方と情報を共有して、病院へ向かいます。病院でも、取り乱します。訪問看護さんと私で、ベッドから落ちないようにガードします。身体状況も悪いため、ベッドからの転倒でも、大けがをする可能性があります。体も、心もボロボロです。慣れているつもりですが、一抹のむなしさ、悲しいような、何とも言えない感覚になります。いい時の状態を知っているだけに、そんな感覚になるのでしょうか。
主治医にも今の状態は伝わっています。大声で叫んでいます。先生、助けてください!と。今、電話で方々病院をあたっていると説明しても、5秒と待てない状況です。きっと、その5秒は本人にとっては長い時間なのでしょう。それほど不穏状況、恐怖は増長しているのだと思います。
1時間ほど、ベッドの横で本人と格闘します。これほど取り乱すのも珍しい。内心、主治医に早くしてくれと思っていました。するとようやく主治医が登場。入院受け入れが決まったと伝えてくれました。結局、主治医から病院の院長先生へ直談判していただけた模様。本当に助かりました。私も、死ぬほど安堵します。良かった以外の言葉がありません。
移動支援のヘルパーさんにも手伝ってもらったりして、本人を病院に連れていきます。あれだけ暴れた本人も、安定剤、睡眠薬を服用していたこと、入院が決定したことから驚くほど落ち着きを取り戻しました。本当に別人のようです。
内心、腹立つくらいの変わり様なんです。つい10分前まで殺してくれ!言ってたのに、今はそんなことあったっけ?みたいな顔(笑)それもまぁ、わかりますけどね。やっぱり安心することは大事なんだと思います。安心できる環境があれば、みんな落ち着くことはできるんだろうなと。
今回は何とか入院につながりました。しかし、今の状況はもはや一人暮らしは継続することそのもの難しいように感じます。同じ状況はたやすく生まれてしまうでしょう。
障害福祉サービスで補えるところは補います。グループホーム、施設入所で24時間安心して暮らしていける環境を提供するべきか、と思いますが、本人の思いがクルクルと変わって、きっと一度入っても、出たいって言うだろうな。
一度入っても、どうせ出たいって言うだろうな、という見立てがある場合、皆さんならどうしますか?
それでも一度、やってみる。というのが、私の答えです。
ですので、出たり入ったりを繰り返しそうです(笑)
大変ですけど、しょうがないですね!という事で、陽性症状が出た人への対応を結構具体的に書いてみました。ちなみに、この一連で障害福祉サービスとして報酬は特にありません(笑)タダ働き(笑)
嘘のようで、ホントの話です。正気が一切ないパターンだった時のお話もあります。それはまた別記事で書いてみたいと思います。
※赤裸々に書いています。正直、大変です。私はこの方に対して一切の悪意はありません。一時的に大変だとは感じていますが。たくさんあるエピソードのうちの一つです。この方のおかげで鍛えられた部分はたくさんあるのでむしろ感謝しています!(笑)
教訓
・病院で無茶苦茶していると、いざという時に入院できないのでちゃんとしておく。
・最悪、主治医を何度も頼れ!
外部リンク:統合失調症ABC
精神疾患の大きな原因となるのは不眠です。不眠を解消するためのアイテム10選!をご紹介。
next:正気を保てていない場合の対処法
back:障害についてに戻る
top:フロントページに戻る