障害者枠における、「履歴書」とは企業に対する大事な応募書類の一つです。障害者雇用枠への応募用の履歴書を作成する際は、基本情報や学歴・職歴のほか、障害や必要な配慮について書くのがポイントです。
応募書類は他に「職務経歴書」「自己紹介書」がありますが、ここでは「履歴書」に絞って説明していきます。
※「職務経歴書」「自己紹介書」については関連ブログに掲載します。そちらもご覧ください。
一般の履歴書には、障害ついての記載欄がありませんので、別途障害者専門インターネットサイトにある専門履歴書をダウンロードするのが良いでしょう。
全体的に初歩的なNGとしては、
・不採用で戻ってきた履歴書を使う。
・履歴書の写真が古い。
・長く勤めた仕事だけを職歴に記載する。
・資格取得年月日を適当に記載する。
・誤字がある。
などがあります。注意しましょう。
履歴書の構成
障害者雇用枠における、履歴書の大きな構成は下記の通りです。
①基本情報…住所や学歴・職歴、免許・資格など。
➁障害の詳細について。
③志望動機について。
それぞれの構成の詳細ポイントを見ていきましょう。
①基本情報…住所や学歴、職歴など。
a)日付…日付の部分は、履歴書を作成した日付なのか、郵送・持参する日付なのか迷いやすい項目です。履歴書を作成した日付ではなく、志望先に渡す・送る日付を書きましょう。
志望先に持参する際は提出しに行く日付、郵送の際は郵送(投函)する日付を書くのが正しい書き方です。郵送・持参する日が決まっていないときは、一度空欄にしておいて、日付が決まってから最後に記入すると良いでしょう。
暦については、和暦・西暦どちらでも問題ありません。ただ、履歴書全体でどちらかに統一する必要があるので、バラバラにならないように気をつけましょう
b)氏名…名前を書くときは、戸籍と同じ名前を正しく記入しましょう。普段省略した漢字を使用している方は、そのまま書くのではなく、省略していない正しい漢字で書きましょう。
c)住所…住所は丁目・番地・号などを省略しないのが書き方のポイントです。都道府県から書き始め、「〇〇県〇〇区〇〇△丁目△番地△号」といったように、省略なしですべて書きましょう。集合住宅に住んでいる場合は、建物名や部屋番号も省略せずに記載します。
d)写真…履歴書には、写真を貼る箇所が指定されています。証明写真はその人の第一印象を決定する重要な部分なので、写真館などでプロに撮影してもらえると良いです。
また、写真を撮るときの服装・身だしなみもしっかり整えます。服装はダーク系のスーツで清潔感を出すのがポイントです。長い髪はまとめて、表情がしっかり見えるようにしましょう。
e)電話番号・メールアドレス…電話番号・メールアドレスは、志望先が連絡に使う重要な情報です。電話番号は、固定電話の場合は市外局番から、携帯電話の場合は「090(1234)5678」のように()やハイフン(-)使って書きましょう。
企業によって連絡手段が異なるため、電話番号とメールアドレスの両方をしっかり記入しましょう。
適性検査の連絡がメールで届くこともあるので、スマートフォン用のキャリアアドレスではなく、PC用のアドレスを準備して、記入するようにしてください。
f)学歴・職歴…学歴・職歴の項目では、いつ・どこの学校を卒業したのか、会社に勤務していたのかなどを記載します。時期の書き間違いや職歴の記入忘れがないようにしましょう。
【年・月】
入学年・月、卒業年・月、入社年・月、退社年・月は、それぞれ間違えないように正しく記入しましょう。書いているうちにズレてしまうこともあるので、提出前に再度チェックすることが大切です。
【学校名】
学歴は高校や専門学校から記載するのが一般的で、中学校までの義務教育については省略可能です。高校は「高等学校」とし、「〇〇市立」などは略さず記載します。公立・私立など正しく記載すること。普通科・商業化などは正しく記載しましょう。
大学に関しては、学部名や留学経験を書くことで企業へのアピールにつながります。
【会社名】
職歴を書く際は基本的にこれまで社員として在籍した会社名を書きましょう。原則、社会保険加入歴があるものは全て記入します。
短期のパート・アルバイトの経歴は省いて構いませんが、離職期間が長く「パート・アルバイトの就業経験しかない」という方は記載をオススメします。
また派遣社員で登録した場合は、登録社名と派遣先・期間を明記してください。
職歴の書き方のポイント
・(株)など略さず株式会社と正式名称で記載する。
・退職理由の書き方は以下のように記載します。
1)自主的に退職した場合:「一身上の都合により退職」。
2)会社から解雇された場合:「会社都合により退職」。
・職歴が短くても、働いた経験として省略せずに記載する。
・職歴が多い場合でも省略せずに記載する。
※場合によって、主な職歴」を記載し、詳細は「職務経歴書」に記載とまとめても良い。
・アルバイト経験のみの職歴の場合は、アルバイト経験を職歴として記載する。
g)免許・資格…免許・資格は、企業にとって自社で活躍してもらえるかを見極める重要な項目です。書き方のポイントをおさえて、所持している免許・資格をアピールしましょう。
1)関連性・難易度の高い資格から書く
志望先の企業は、自社で活かせる免許・資格があるかを見ています。所持している免許・資格を取得 した順などに記載するのではなく、仕事への関連性や難易度の高い資格から書くとアピールにつながるでしょう。
例えば、事務職なら簿記やパソコン関連の資格をまず記載すれば、採用担当者の目に留まるはずです。
2)勉強中の資格も記入可能
所持している資格はもちろん、勉強中の資格も記入して大丈夫です。仕事に関係のある資格であれば、入社後の仕事をイメージしやすくなります。
記入できる資格に制限はなく、国家資格でなくても書くことができます。また「日商簿記2級取得に向けて勉強中」など勉強中の資格についても書けるので、意欲や熱意をしっかりアピールしましょう。
免許・資格の書き方のポイントは、下記の通りです。
・資格が多い場合は、応募する仕事に関連あるものを記載する。
・取得した順に上から記載する。
・同じ資格で2級、3級と2つ以上取得している場合は、上位の級のみ記載します。
・資格名には表記ルールがあるため、ホームページなど資格の正式名称を確認する。
➁障害の詳細について。
障害者における就職には、障害のあることを企業に開示して就職するオープン就労と企業に非開示で就職するクローズ就労があります。
ここでオープン就労を目指す方は、障害の詳細欄がある履歴書を使ってください。障害者用履歴書は、障害者専門のインターネットネットサイトで検索するとダウンロードサイトを見つけることができるので、自分に合った書式をダウンロードしてみてください。
障害の詳細については、「障害分類」「障害等級」「障害内容」「現状と詳細」「通院状況」「協力支援機関」「必要な配慮」「障害者手帳取得日」などがあります。
障害の詳細欄は、あなたが企業側へ自分の障害内容を詳しく伝えるものなので、なるべく詳しく書きましょう。もっとも重要なことは、企業側目線に立った文章を書くことです。あなたが伝えたいことと企業側が知りたいことは、異なります。
例えば、
・あなたの伝えたいこと…「自分の障害を正しく知ってほしい」「配慮点もしっかり伝えたい」
・企業側の知りたいこと…「体調や勤怠は安定しているか」「どのような障害なのか」「配慮があるとどんな業務をどれくらいできるか」
などがあります。
企業側に立った内容にすると、あなたの症状に対する対策もイメージしやすくなります。
A)障害の詳細欄には、企業があなたの働くイメージが持てる文章構成にしましょう。
【文章構成例】
①障害について以前の状況…「以前はこうだったが」
➁障害について現在の状況…「今は安定しています」
③不調のサインと対処法…「不調はこんな時に、こんな症状があるが、こんな対処をしているので」
④業務が可能ということ…「対処することで症状をカバーできています。」
B)相手に伝わりやすいポジティブな言葉表現を使いましょう。
伝えたい思いが同じでも、使う言葉が異なることで相手への伝わり方が大きく異なります。ネガティブな表現よりポジティブな表現が良いでしょう。
例えば)
「残業が月10時間を超すと体調を崩すのでできません」ではなく「月10時間程度ならできます」や
「残業はできません」ではなく「残業は体調管理が難しくなるので、就業時間内に終われるように順序だてて仕事をしていきたいと思います」が良いでしょう。
C)記載する内容の範囲を選考状況ですみ分ける。
自分の障害や状況などを書いていると、書きたいことが出てきて長文になり、読みにくくなってしまうかもしれません。そこで、選考状況によって伝えたい内容を分けて書きましょう。選考状況とは、「書類選考で伝えること」「面接選考で伝えること」です。
例)
「書類選考で伝えること」…「障害についての基本的な情報」「体調が安定していて、業務が可能であること」などと、
「面接選考で伝えること」…「書類に記載した内容よりも、より具体的な内容」「書類で表し切れていない細かなニュアンス」などがあります。
③志望動機について。
志望動機とは、あなたがその企業を選んだ理由であり、面接に進むための重要な項目です。志望動機を見て入社してもらいたいと企業側に感じてもらえるような志望動機にしましょう。
☆志望動機にを考える際に以下の3つの内容を確認しましょう。
①なぜ、この企業で働きたいのか。
➁なぜ、この仕事をしたいのか。
③入社後にはどう頑張りたいのか。
☆志望動機の記載するポイントとして。
①志望動機の説明・理由・根拠を書く。
➁志望動機をわかりやすく、簡潔に書く。
③企業目線を意識して書く。
まとめ
就職活動では履歴書を参考にして、面接が行われます。面接で重要視されるのが志望動機です。
履歴書の志望動機は、参考書やマニュアルに頼り切りにならず、自分の言葉で書くことが大切です。考えて書くことによって、面接でも自信をもってスムーズに話せます。
なぜ志望したのかは、志望先の企業が気になるポイントです。理由をできるだけ具体的に書きましょう。
例えば、「貴社に魅力を感じました」という言葉だけでは何に魅力を感じて志望したのかがわかりません。
「私はこのような経験から、貴社のこのような所に魅力を感じ、自分自身も貢献したいと思い志望しました」などのように、「自分の原体験」「会社に対し、具体的に興味を持っているポイント」をふまえて書く方が、志望度の高さが伝わりやすくなります。
志望動機や応募企業先の求めている人物像をもとに、「自己PR」も書くことができます。ここでも実際に経験した事実を添えれば、説得力が増します。
入社したときにどんな貢献をしてくれるかをイメージさせる必要があります。何ができるのかをしっかり書くことが大切です。自分のスキルや資格、経験などを踏まえて、どのようなことができるかを具体的に記入します。
経験のない業種を志望する場合は、経験や知識、資格などから関わりのあるものをアピールしましょう。できることとそれを裏付ける根拠をセットで記入するとアピールにつながりやすいです。
それでも不安になることは当然です。そんな時は、障害者転職エージェントや(※)就労移行支援サービスを受けてみるとかなり解決できるでしょう。強くお勧めします。
※就労移行支援サービスとは、障害のある方の社会参加をサポートする、国の支援制度で障害者総合支援法という法律に基づいた、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスのひとつです。
一般企業への就職を目指す障害のある方(65歳未満)を対象に就職に必要な知識やスキル向上のためのサポート、就労への促しや斡旋、合理的配慮の話し合い、企業への就業定着支援のサービスを行います。
おすすめ【障害者向け転職エージェント】
①dodaチャレンジ
>>障害者の転職
➁アットジーピー【atGP】
>>プロと一緒にする転職活動!障害者の就・転職ならアットジーピー【atGP】
おすすめ【就労移行支援サービス】
①【LITALICOワークス】
>>【LITALICOワークス】
➁就労移行支援事業所 Cocorport(旧社名:Melk)
>>障がい者の就職を支援する就労移行支援事業所 Cocorport(旧社名:Melk)
③パーソルチャレンジ・ミラトレ
>>【パーソルチャレンジ・ミラトレ】働く未来をあきらめない就労移行支援
>>障害者雇用の話