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うつ病は自分で気づくのか

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うつ病は自分で気づくのか?気づかないのか?

わたしは、現役のうつ病患者です。かなり快方に向かっているので、こうやってブログを書いています。今回は、うつ病は自分で気づくのかをお話したいと思います。これは私自身の経験に基づくものであって、かくある文献の症例と異なることがあります。ある一例としてご覧いただけると幸いです。

わたしが、うつ病だと気づかされたのは、ずっと後のことです。気づかされたということは、結果から言えばうつ病は自分で気づかないとなってしまいます。
ただこれは「わたしはうつ病」だという認識に限ってでして、自分が何かおかしい、いつもと違う等は自身に湧き上がる感情や感覚、周りの反応で気づいていきます。
この時点では、病院にも行っていないので、うつ病とは自分で気づかないわけです。

では、どの時点で「うつ病は自分で気づくのか」思い起こしてみます。
わたしの場合は、自分から何かがおかしいと感じ始めました。別のブログにも書きましたが、わたしは仕事上で大きな問題があり、多大なストレスを受けました。そのストレスから立ち上がれず、病気に至るのですが、はじめは憂鬱や落ち込みは、当然だと思っていました。それが、時間がたつにつれて憂鬱や落ち込みは負のスパイラルとなってそこから抜け出せなくなるのです。悪かった思い出しか出てきません。心の逃げ場もありません。夜も眠れなくなります。次第に体力もなくなりベッドから出れなくなりました。初めのうちは、プライドの壁から人に助けを求めきれず、一人で考え込むようになります。またぐるぐると負の流れに引き込まれる感じがしました。

さすがにここまでくると自分の精神は普通じゃないと感じ始めます。独り暮らしだったので、自分の意志で、少し相談するつもりで近場のクリニックを受診します。
診断は、「適応障害」でした。
これは、これまでの症状が、これまでの事象によることが明確だったからでしょう。これをクリアにすれば病状は良くなると言われ、大量の薬を渡されました。しかしこれは間違いで薬では適応障害は治らないのに、大量の薬を飲むことで、余計に病状は悪くなるのでした。ひどくなると段々と自分の意識が薄くなり記憶障害も幻覚も出てきます。なぜか、その時点の診断は「うつ病」に変わっていました。
このことで、セカンドオピニオンに頼るのでした。

セカンドオピニオンに頼ったときには、以前に感じていた憂鬱な感情や感覚は薄れ、代わりに激しい感情と憂鬱を繰り返し、何かから怯え攻撃性があり、見るからに異常だったと聞いています。薬のせいだと家族からも新しい主治医からも言われました。自分が何の病気なのか、うつ病は自分で気づくのかレベルではありませんでした。
診断は「双極性うつ病」です。またも診断は変わりました。よくわかりませんが、そうなのかと思いました。周囲の状況がそう語っていました。
憂鬱性に加えて激しい攻撃的な症状を見られて双極性と判断されたようですが、今となってみれば大量の薬からきた反応ではないかと思っています。ですので、ここでも自分から何の病気なのか判断することはできません。ただ、周りに、特に家族に攻撃的であったと思います。思わず手を挙げてしまったことは自分でもショックだったのか断片的に覚えています。うつ病と双極性うつ病は、区別がつきにくく違った診断でも仕方がなかったと思っています。ここでもうつ病は自分で気づくことはありませんでした。

セカンドオピニオンで入院し薬の量も半減した頃、大きなショックを受けることが起きます。
そのために、また違う病院に救急搬送されます。ほとんど入院した時の状況を覚えていませんが、相当暴れたようです。自覚はしていませんので、もちろん病気だと気づいていません。
個室で隔離生活が始まりました。だんだん意識がはっきりしてきて、自分がどうゆう状態だったのか受け止められるようになります。ひどく憂鬱でした。侘しさや寂しさ、悲しみがぐるぐると渦巻いていました。はっきりとは言えませんが消え去りたいとも思っていました。保護観察が付きます。

診断が出ました。今度は、時間をおいてから観察されての診断でした。
「うつ病」。これがわたしの現在の最終診断になります。
まだこれでも確定ではないかもしれません。それほど精神科医の判断は難しいのです。
つまり専門医でも判断が難しいうつ病を自分の事とはいえ、うつ病は自分で気づかないと思います。
それゆえに、周囲の人や病院の存在が必要なのです。
簡単に病人に自分の病気が分からないのかと聞かないでください。真実を知りたいのは本人なのです。
自分の症状を知れない程怖いことはありません。病院を頼り、薬を頼り、やっと自分の症状にあった治療を見つけられるのです。

うつ病は自分で気づくのか?
うつ病は自分だけでは気づけません。
自分の感情と感覚の違和感、家族を中心とした周りの客観的な観察、専門知識を持つ病院が揃って始めて病気に対峙できるのです。
うつ病であるかは、それからわかることであり、自己判断で気づくものではありません。

今感情に不安な方、一人で抱え込まないで助けを求めてください。
自身で気づいていないことがあるかもしれません。

外部リンク:うつ病のサイン

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【監修者紹介】
福井 至(ふくい・いたる)
東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科 東京家政大学大学院
教授。臨床心理士、博士(人間科学)。
『図説 認知行動療法ステップアップ・ガイド 治療と予防への応用』
(金剛出版)、『図解 やさしくわかる認知行動療法』(ナツメ社)など、
編著書・監修書多数。

貝谷久宣(かいや・ひさのぶ)
医療法人和楽会理事長、パニック障害研究センター所長、京都府立
医科大学客員教授。医学博士。
『気まぐれ「うつ」病―誤解される非定型うつ病』(筑摩書房)、『マ
インドフルネス 基礎と実践』(日本評論社)、『図解 やさしくわか
る認知行動療法』(ナツメ社)など、編著書・監修書多数。

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