f08c47fec0942fa0 うつ病と入院 | b型事業所アクセプト
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精神障がいのこと

うつ病と入院

精神障がいのこと

うつ病の入院生活

わたしは、現役のうつ病患者です。うつ病を患って2度入院を経験しています。今うつ病を患っていらっしゃるなかに入院を考えていらっしゃる方もあるかと思います。そこでわたしが入院した経緯と入院中の暮らしをお話したいと思います。悩んでいらっしゃる方の考えの足しになれればと思います。

わたしが初めてうつ病で入院したのは、セカンドオピニオンでのことでした。前に通院していた病院で無茶な処方を受けてうつ病の病状が悪化したためです。始めのわたしは、入院を拒絶していました。うつ病で自分が苦しい時に自室部屋という逃げ場が無くなると恐怖を感じたからです。しかしうつ病の病状はかなり悪化していましたので、家族からは強制入院でした。

その病院は、総合的な精神科の病院で、入院施設もかなり大きかったです。
退院までの目標が立てられました。入院6か月(現在は3か月以上はないそうです)の間に、うつ病の薬の量を半分以下にして、通常の生活リズムに整えようとのことです。薬は一度に減らすことはできず、様子を見ながら2週間単位で種類を替え、うつ病の薬の量を減らしていきました。

部屋は個室でした。と言っても4人部屋を一人で使っていました。部屋には何もありません。行動は制限され外へ出るのはトイレとシャワー室を使う時だけでした。病状は当時飲んでいたうつ病の薬が、憂鬱な感情をよくするため(疑問)の抗うつ薬だったのか異常に興奮状態で、ベッドでじっとしているのは辛かったです。夢遊病や幻覚、叫んだり、喚いたり、パニックにもなりながら(この辺は自分ではあまり記憶がありません)、それでも覚醒している時は部屋のタイルを数えながら歩いたり、窓の外の木の本数を数えて気を紛らわしていました。本来は、何も考えず安静にしておくべきなのですが、飲んでいた薬によって異常な行動は続いていました。うつ病の薬も減らしていたので、体がうつ病の薬を欲していました。

2週間もすると入院生活に慣れてきます。食べれなかった食事も口にするようになりました。食事はいたって普通で栄養バランスはとってあれど、病人食とは思えない一般的なものでした。食事が唯一の楽しみになります。シャワーは基本的に週に2回です。洗濯日を同じにしていました。
毎日の生活は変わらないのですが、2週間おきの薬の変更は続きます。それまではこれといって主治医と話すことだけが治療でした。それだけでも少しづつ落ち着きつつありました。

2か月位たった頃、部屋に人が入ってきたようでした。というもの普通の4人部屋と違い、部屋の区切りはカーテンではなくクローゼットや家具で仕切っていたのでいたので、他の様子はあまり分かりませんでした。しかし、夜になると眠れないうえに隣の生活音(ガサガサ音)が気になってしまい苛立ちが募ります。元々眠れないので尚更耳に入ってくるのです。うつ病で攻撃的にイライラはします。うつ病の症状でもあったのでしょう、普段ではしないのですがクローゼットを蹴ってしまいました。当然、喧嘩になりました。

入院暮らしも中ほどになった頃、カウンセリングと作業療法をするようになります。カウンセリングでは、うつ病の診断テストやヒヤリングしながらうつ病の根幹にあるものを探っているようでした。作業療法は、革製品作りやアロマ講習、フットマッサージ等、様々なプログラムがありました。生活に余裕が出たのか興味があるものは受けるようにしていました。作業をしている間は余計なことを考えずに没頭できたからです。
しばらくして館内を一人で回れるようになります。朝と夕方、館内の自動販売機を見ながら散歩していました。薬も減りかなり落ち着いてきたように感じていました。

入院も残り2か月になった頃、外出許可がおります。家に一時帰宅できるようになります。前もって指定した日に帰ります。4か月近く家から離れていたので、ほっとした半面、元の状態に戻らないか不安にもなります。あれだけ自室に逃げ込んでいたのにです。うつ病に対して恐怖感を感じていました。逆に病院に戻ると、安心するのでした。実際は逃げ込む場所が変わっただけでしたが、客観的に自分の病状を見られるようになってはきていました。

入院残り1か月、うつ病の薬は予定の量になったようで、一定のまま変わらなくなっていました。相変わらず自分の部屋に籠る依存はしていましたが、退院が近くなると家に帰る気持ちが湧いてきます。それと同時に不安も大きくなるのです。まだ、うつ病が治っていないのではと考えます。自分の病状を考えられるということは、かなり良くなってきていると言われるのでした。退院の日はすぐに来て、名残惜しくなった病室をでることになるのです。
今ではその入院に入ってよかったと思います。
しかし、まだ病気は治りきっていませんでした。

実家に帰りしばらく調子が良かったのですが、仕事はなく一日中家にいると少し憂鬱な気持ちが湧いてきます。なるべくそちらに引き込まれないようにしていたのですが、病院にいる時と違って人目を気にして外に出れないでおりました。家族は、心配性で外に出るように勧めますが、今一歩が踏み出せず憂鬱と攻撃的なイライラを募らせていました。ついには感情を爆発させて、親にも手を上げるようになります。そしてその後その反動で落ち込み、憂鬱の時間の時間が増え、また部屋に逃げ込むようになりました。うつ病は治りきれていませんでした。

そんなある日、最大の事件が起こります。父親の死です。狂いました。自分のせいだと自分自身を恨みました。その時の意識が少しあって、おぼろげながら覚えていたのはそこまでです。うつ病の再発です。手が付けられなかったようで、以前とは違う2つ目の大きな病院に救急搬送されました。

入院3か月、一人部屋に隔離されました。
そこは6階建ての病院で1階が診察・検査室、2階が管理の必要な患者を見守る一人部屋、3階は一般病棟と重度の患者を隔離する病棟、4階が作業療法やレクレーションルーム、5階は大浴場となっています。私が、目を覚ましたのは2階の個室でした。何もないベットだけの部屋で、床はモノクロのチェックでした。横になったり、うずくまって座ったり、チェックの柄のタイルの上を歩いたりして何も考えないようにしていましたが、それは無理な状態でした。
2週間ほどその部屋で気持ちを落ち着かせていました。ハイ状態が収まると強烈なうつ状態になります。これも2週間ほどかけて、なるべく何も考えないように努めました。憂鬱で苦しかったです。2階のフロアはゲートがあり外と出入りができないようになっていて、完全隔離です。そこにはいろんな症状の患者がいらっしゃいました。昼間は、普通の一般健常者に見えても、夜になると叫び声やけん騒に目が覚めます。自殺未遂を起こされないように、見回りは多かったと思います。食事は、本人が無事かどうか確認も兼ねて、部屋から出るように配膳されました。風呂は週に2回シャワー室を使えましたが、予約制でしたので使いずらかったですね。

一度入院を経験していると回復の間隔も早くなり、1か月もしないうちに3階一般病室に移されます。本来は、4人部屋なのですが、部屋にゆとりがなかったのか一人部屋が与えられます。まだ、人と接したくなかったので助かりました。特大のGには参りましたが、朝日が差し込み体には良かったと思います。広いベランダにバスケットコートがあったので、ボールをかごに入れて運動していました。運動後には、上の大浴場を使うことを許されました。毎日使えるので気持ちもリフレッシュできます。

その頃からカウンセリングと作業療法がおこなわれ始めます。この辺は以前の病院と変わりません。カウンセリングは、気持ちを落ち着かせる方法や日頃の生活リズムの改善、一つの事で考え込まないように新しい何かを探すお手伝いをしてくれました。作業療法は、様々な作業がありました。パズルやプラモデル、パッチワークに折り紙、絵本や音楽鑑賞等、自分が没頭出来て落ち着けるものをなんでも見つけて行っていました。このころには、病院が決めた外出ルートを散歩することができました。普段見過ごしがちな生活の一部をゆっくりとした気分で見ることができ、散歩すると頭の中がスッキリするように感じました。

入院2か月が近づいたころ、主治医からデイケアを受けてみないかと誘われます。病院には、デイケアの施設が付属して、外部からも受けに来ていました。生活リズムを作る、対人関係を円滑にする、社会生活の自信をつける、病気との付き合い方を知る等スタッフと一緒にリハビリをしていました。様々なプログラムがあり、作業療法より高度な内容の物もありました。わたしは、モノ造りの仕事をしていたので、陶芸と絵画のプログラムを受けます。目標は、作業をするうえで対人関係を円滑にすることと社会生活の自信をつけることでした。大勢の人の中はまだ抵抗がありましたが、徐々にお話ができるようになります。このような施設はなかなか付属してないかもしれませんが、チャンスがあればなるべく受けることをお勧めします。作業日や時間が決まっているので、生活リズムの改善にもなります。

入院2か月を過ぎると診察とカウンセリング、散歩とデイケアを中心に生活を重ねて、元の落ち着いた状態になってきました。夜も時間は短いですが、眠れるようになりました。ここでも外出許可が下ります。実家に戻り、元の状態に戻らないか、観察するのです。今度は、家に帰る抵抗も少なく、早く普通の生活を続けたいと感じるようになっていました。おかげで半月後に退院許可がおります。予定より早い退院でした。次からは通院をしながら薬をもっと減らしましょうと目標をたてます。今度はうちに帰っても、デイケアをしばらく続けて、日常生活のリズムをつけました。途中で生活が乱れると思うと入院生活を思い返すのでした。


入院は、わたしの人生にとって重要な期間になりました。
気持ちを穏やかにする環境、生活のリズムを整え、生きる自信をつけて対人関係を円滑にする。外部の余計な情報も入らない入院環境は、うつ病の始まりから必要だと感じました。
うつ病は、早期であれば治りが早いと言われていますが、もし治りが遅く感じ周りに心配され始めたのなら、一度主治医に入院の相談をすると良いと思います。なかなか病室に余裕のある病院は少ないのですが、チャンスがあればわたしはお勧めします。わたしも完治しているわけではありません。いつまた病院のお世話になるかも知れません。その時は、早期に病状を直すために入院したいと思っています。

皆さんも良い病院に巡り合えることをお祈りしています。

外部リンク:うつ病の入院治療のメリットあれこれ

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吃音、幻聴、リストカット——-こころを病んで病院に搬送された私は統合失調症と診断されました。最初の晩は少し泣いたけど、こころを病んだ優しい人たちが集まるここでの暮らしはとても穏やかで—-。

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