うつ病で言ってほしい言葉、禁句、そして接し方
わたしは、現役のうつ病患者です。かなり快方に向かっているので、このようにブログを書いています。今回は、よく言われる患者への接し方、言ってほしい言葉と禁句についてお話したいと思います。あくまで、自分自身が受けて感じたことなので、かくある文献とは異なることもあるかもしれませんが、一例として見ていただけると助かります。それでははじめましょう。
わたしの病気は、職場内の仕事のストレスによって引き起こされたと思っています。病状は、13年間続きました。うつ病の急性期はまだ仕事をしている時で、回復期は、入院または部屋に引き籠っていました。急性期の段階では、人と接することが多く言葉を交わします。言ってほしい言葉、禁句いろいろあったと思いますが、いざと思い出すとなると禁句の言葉が先に思い出されます。急性期の初期ではまだ仕事へのプライドもありましたので、同情や慰めの言葉はストレスがたまりました。ストレスで疲れた時に、「元気なくないか、大丈夫か?何かやれることはないのか?」と話されます。本来ならありがたい言葉なのですが、この時点では、なにくそと反発を感じるのでした。
「そんなに急がないでいいんだよ」とうつ病には良いとされている言葉も哀れみの言葉に感じ、反抗して無理に仕事をこなしていた時期もありました。何を言われても正直効く耳を持ってなかったかもしれません。そのうちに会社内で自分は不協和音となり、「その仕事こっちでやるから」とか「納期に間に合うように自分で調整して」と戦力として孤立するようになりました。病状は複雑に悪化していきます。
ある時、ぷつっと緊張の糸が切れて、急激に病気に転がり落ち、会社にいられなくなるほど病状が悪化したときに、「無理しないでね」や「元気になって会社に出てきてください」等、言ってもらったのですが、その時にはもう同僚や会社に対して失意や反感の気持ちがあったので、善意の接し方だったかもしれませんが、誰のせいでこんな無理をしなきゃならなかったんだと逆恨みしたり、もう会社に戻ることはできないだろうなと悲観したりしていました。この時は大きな孤独と憂鬱を感じていました。
実家に帰っても家族はなんと声をかければよいのか分からずに、腫れ物に触るような接し方で「本当にうつ病なのか?」や「気にしすぎじゃない?」と初めは言われ、あげくは「引き籠ってもしょうがない、困っている人は他に大勢いるんだよ」と他と比較もされました。最悪の接し方です。喧嘩したときは、「支える側も大変なんだ」とも言われました。ごもっともです、何も言えません。ここに自分の居場所はありません。部屋に引き籠り、ますます病状は進行していきました。
外の世界には、ストレスのかかる言葉だらけでした。それもそのはずです。うつ病患者に健常者の言葉はまともに伝わりずらい接し方にいるのです。なので、いろんな文献やサイトでうつ病患者への接し方の注意項目が多く出ているのです。心が楽になる接し方が受け取れるようになるのは、かなり後の回復期に入った頃からです。それまでは、まともに禁句を真っ直ぐには捉えきれずストレスをため込んでしまいます。
回復期の始まりは、カウンセラーとの接し方でした。
「そんなに肩ひじ張らずに、急がなくてもいいですから。ゆっくり一緒に治していきましょう」と始まり、「悩んでいることはよく聞いて相談に乗って」くれました。
仕事をしていた頃の自分を顧みて反省すると、「そのままのあなたでいい」と諭され、「これまでよく頑張ったのだから頑張らなくてもいい」と言ってほしい言葉と接し方でした。
そして最後に、死にたくなったら一番に教えてくださいと釘を刺されました。「生きていてほしいから」と。
ドキッとしました。一瞬でも消え去りたいと思ったことがあったからです。
その頃には、引き籠っていた心も安らぎ、素直に接し方を受け入れることができました。
このお話で、急性期と回復期において接し方の取り方が異なることが分かります。
病気の急性期においては、激しい元気づけや鼓舞は論外として、慰めやいたわりの言葉すら禁句となりストレスやプレッシャーになるのです。言葉は短めに本人を尊重して否定せず、孤独にさせない接し方が必要だと思います。
回復期に入ると、冷静に言葉の受け答えができるので、積極的に寄り添って話してもよいと思います。
言ってほしい言葉があるはずです。
ただし回復期において揺らぎもあります。その時は、急性期から回復期の会話の対応の繰り返しになると思いますが、以前のように反発が長引くことはないと思います。その時は、つかず離れずが丁度よい接し方でしょう。
あなたに問います。無意識の口撃をしていませんか?
適当な言葉が出てこなくてもわたしを見守ってください。
もしかすると、ひどい仕打ちを返すかもしれません。
それでも回復してきたら積極的に寄り添ってください。
あなたの助けが必要です。
外部リンク:うつ病の方へ贈りたい言葉・かけてはいけない言葉とは
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家族や同僚がうつ病にかかった時、どんな言葉をかければよいでしょうか。よく「うつ病の人を励ましてはいけない」と言いますが、実は励ました方がよい時期もあります。本書では、タブーな言葉から回復を後押しする励まし方まで、うつ病の長期化・再発を防ぐ接し方を徹底解説します。また、うつ病の本人向けにも「病気の打ち明け方」や「治療中の人付き合い」をアドバイス。家庭や職場での場面別対応例が満載で、すぐに使える一冊。
ひと目でわかるイラスト図解
《講談社 健康ライブラリーイラスト版》
【家庭や職場での場面別対応例が満載】
うつ病の人に「がんばって」は本当に禁句なのでしょうか?
タブーな言葉から、回復を後押しする励まし方まで、
家庭や職場での場面に応じた対応例が満載。
うつ病の長期化、再発を防ぐ接し方を徹底解説します。
(まえがきより)
私はうつ病患者さんの復職支援に10年以上とりくんできました。患者さんを支える家族への対応にも、力を入れてきました。また、企業の産業医として職場の健康管理にも携わっています。
そのような活動のなかで痛感してきたのが、うつ病患者さんを治す(単に病気が癒えるだけでなく、社会的機能も回復させ、再発を防ぐ)ためには、本人への治療に加えて、家族や職場の人々など、関係者へのアドバイスや働きかけが重要だということです。
患者さんへの対応だけでは、患者さん自身はよくなっても、その人を支える家族や職場の人々が疲弊し、共倒れしてしまうことがよくあります。関係者を支えることも必要なのです。そうした周囲の支援が、患者さんの回復に必要であることも、言うまでもありません。
本書は絶対的な正解を示すものではありません。むしろ、本書を引き合いにして、患者さんと家族、職場の人々が話し合いの機会をもってもらえれば幸いです。(監修者 有馬秀晃)
【家族が言っていいこと・いけないこと】(一例紹介)
●自殺をほのめかされたらなんて言えばいい?
●経済的な不安を本人にどう話す?
●職場とのやりとりは本人に任せたほうがいい?
●気晴らしに遊びや会食に誘ってもいい?
【職場で言っていいこと・いけないこと】(一例紹介)
●うつ病の同僚から仕事上の相談をされたらどうする?
●生産性の低下が目立ってきたらどう切り出せばいい?
●法的に問題となる言い回しは?
●休職中の社員の状況を家族に聞いていい?