障害をお持ちの方の面接では、「自身の障害について教えてください」という質問は必ず受けることになるでしょう。採用に当たってどのような配慮が必要なのか、長く一緒に働くために会社が準備した方が良いことを検討するための質問です。
できることとできないことを明確にし、客観的な視点で正確に伝えることが大切です。正確に伝わらなければ、仕事がスタートしてから不便を感じてしまうかもしれません。自分の障害の特性や、働くときにお願いしたい配慮がある場合には、面接の機会に伝えておくと安心です。
障害者雇用枠における面接の準備
障害者雇用枠における面接の準備は、一般的な質問内容はともかく「障害に関すること」が多くなることが考えられます。企業側の一般的な疑問は、履歴書で把握されています。
なのでここでは「障害についての受け答え」に重点を置いて考えてみましょう。
先にも述べたように「自身の障害への質問」は必ずあります。
この面接では後の(※)合理的配慮にもつながる大事な因子になりますので、話しそびれの無いように事前にまとめておきましょう。
※合理的配慮とは、平成28年4月1日に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」では、障害のある人への不当な差別的取り扱いを禁止し、合理的配慮の提供を求めています。(障害者差別解消法)
障害の詳細をまとめる
障害者の方を雇用したことがある企業であれば、ある程度障害への理解がありますが、そうでない場合は、企業側は障害者の方を受け入れる具体的な準備の仕方が分かりません。企業面接官は、あなたにどんな仕事が依頼できるのか、雇用するためにはどういった合理的配慮が必要なのかを知るために質問しています。
企業は「一緒に安定して働けるか」「合理的配慮はできるか」を面接であなたの障害の度合いによりその可能性を知りたがっています。ですので、本人が「伝えたいことだけ話すのではなく」、企業側が「知りたいと思われること」を大事に答えましょう。
☆本人が伝えたいこと
・自分の障害を正しく知ってもらいたい。
・合理的配慮していただきたいことを伝えたい。
★企業が知りたいこと
・どのような障害があるのか。
・体調や勤怠は安定しているか。
・合理的配慮があるとどのような業務がどれくらいできるのか。
障害雇用における面接のポイント
障害についての情報は、企業側がもっとも知りたがっている内容なので、正確かつ具体的に伝えることが大切です。「どこに障害があります」とはっきりと伝えても大丈夫です。
障害について伝えるときには、自分にできることとできないことを明確にしておきましょう。
例えば、聴覚障害の方の場合、「相手の口元を見ながらの口話はできるが、電話応対は難しいのでご配慮ください」と伝えれば自分ができることとサポートしてもらいたいことを順序だてて説明すれば、企業面接もその人が働く姿のイメージが湧きやすいでしょう。
障害に関して詳しく知らない企業面接官も少なくありませんので、わかりやすく伝えることを意識してください。
障害者雇用における面接のポイントは、下記の通りです。
①あなたの働くイメージが持ちやすい説明にする。
➁企業面接官に伝わりやすい言葉を使う。
③面接の質問に沿った範囲に答えをまとめる。
①あなたの働くイメージが持ちやすい説明にする。
主にあなたの「障害による症状」や「具体的な疾患内容」は企業面接官は履歴書で周知しています。
そこで企業面接官には以下の事柄に沿って、自身の実情を症状により詳しく当てはめて説明しましょう。
a) 障害について以前の状況…「以前はこうだったが。」
b) 障害について現在の状況…「今は安定しています。」
c) 不調の予兆と対処方法…「不調な時はこのような症状が出ますが、このような対処ができます。」
d) 業務が可能であること…「合理的配慮や対処方法で症状をカバーし働くことができます。」
➁企業面接官に伝わりやすい言葉を使う。
伝えたい言葉が同じであっても言葉の表現を変えるだけで、企業面接官への伝わり方イメージが大きく変わります。なるべくポジティブな受け答えを意識しましょう。
あなたの「残業時間が月10時間を超えると体調を崩すのでできません。」と言われると企業側はそこで終わりなので思考を停止してあまりいい印象を持ちません。
ここであなたが「残業時間は月10時間程度ならば可能です。」と伝えると前述と同じ結果ではありますが、あなたへの印象は大きく変わることでしょう。
「残業はできません。」ではなく「なるべく就労時間内で業務を終わらせられるよう努力します。」の方がポジティブで業務へのやる気を感じます。
③面接の質問に沿った範囲にまとめる。
自分の病状や症状を伝えたいばかりに、内容をまとめ切らず長話になってしまう場合もあります。
聞いている企業面接官もどこにポイントを置いたらよいか迷ってしまいます。
この場合は、選考する状況によって分けて伝えるのが良いかもしれません。
☆履歴書など文書説明する内容。
・障害についての基本的な情報…「障害名や症状」。
・体調が安定していて、業務が可能であること。
★面接で口頭で説明する内容
・文書記載したよりさらに詳しい内容。
・書面では伝えきれない細かいニュアンス。
まとめ
障害者雇用枠における企業面接官は、一般面接に加え「障害の詳細」を知りたがっています。
必ず質問されますので、これまでご説明してきた内容を踏まえてあらかじめまとめておきましょう。
障害は企業にとってネガティブに感じがちですが、障害者を受け入れる意思のある企業はとてもポジティブです。臆することなく面接を受けましょう。
企業がポジティブな以上、あなたもポジティブでなければなりません。その気持ちを誤解なく伝える努力をしましょう。きっと企業面接官もあなたの企業に対するやる気や誠実さを感じてもらえることでしょう。
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